神野紗希という俳人が好きだ。
久しぶりに句集を読みたいと思い、本棚を探していたのだが出てこない。
『星の地図』。
新書サイズのもので、手に取りやすい。
何度目かのアタックでついに出てきた。
本棚の1番上にいた。
薄いので見逃していたようだ。
同じく俳人の坪内稔典が栞を書いており、これが面白かったと記憶に残っている。
坪内稔典はカバと甘納豆の俳人だ。
三月の甘納豆のうふふふふ
これがなぜか有名。
食べる自分が嬉しい。
嬉しいと言っても、大はしゃぎではなく、うふふふぐらいが甘納豆にはちょうど良い。
そして甘納豆自身がうふふふふふと言っているような不気味さ。
不気味な甘納豆。
ああ、甘納豆買ってこよう。
その坪内稔典の神野紗希評は、要は高校時代のあまり俳句のことを知らない時の俳句の方が良い。俳句の知識を得てしまってからは新鮮さが感じられないとのこと。
これは私もそう思うのだ。
神野紗希自身もあとがきで、高校時代の作品ばかり評価されると記しており苦しんでいたようだ。
今では博士後期課程を修了しているので、俳句の学者ということだ。
俳句の学者にフレッシュさを求めるのはそりゃ無茶だ。
起立礼着席青葉風過ぎた
青春を感じてとても好きな句だ。
この句だって、破調だし素人という感じではない。
こういう良さってあるのだ。
ロックで言えば、ストーンローゼスのファーストアルバムのような。
坪内稔典も国文学者で、正岡子規などをやっていた人だからプロだ。
それが故に自らも悩んで、神野紗希にアドバイスをしているのかもしれない。
キャラをつけなければならないと。
坪内稔典の場合は「うふふふふ」のような突飛な句だった。
坪内稔典は名著『俳句という遊び』にも登場する。
俳人としての高橋睦郎も登場する。
高橋睦郎の先生は安東次男。
安東次男の先生は加藤楸邨。