椎名林檎の幸福論
椎名林檎のデビューシングルは「幸福論」だ。
すでにあるものとして、BGM的にこの曲を聴いているが、注意して聴くと「哲学」という歌詞が入っており、フックになっている。
歌詞の内容としては学問としての哲学を示しているわけではないが、よくよく考えると「幸福論」というタイトルは哲学から湧いているのだと思う。
デュルケムの「自殺論」とかモースの「贈与論」とかロールズの「正義論」とかロックの「市民政府二論」とか。
なんというか19歳と、まだまだ若い椎名林檎を垣間見たような気がして嬉しい。
この曲はアルバムではアップテンポのアレンジで1曲目に収録されている。
これは東京事変のファーストアルバム1曲目の「林檎の唄」で「りんごのうた」をセルフカバーした構造と同じだ。
この東京事変のファーストアルバムの1曲目の「林檎の唄」は名イントロと思う。
2曲目の「群青日和」を1曲目にしても成立していたと思うが、それを上回る傑作イントロとだ。
こういうのが聞きたいんでしょ的なイントロ。
ブレイクしてドラムのフィルから次のパートに入っていくところなど痺れる。
ちなみに私が名イントロとしてパッと思いつくのは他に、アラレちゃんのOPのイントロ、うる星やつらのOPのイントロ、トシちゃんの「抱きしめてTONIGHT」のイントロ。
これらは狙って作ったイントロを感じるので好きだ。
商業的イントロというか。
ちなみにトシちゃんはダンスが凄く上手いが、歌はそれほど上手くないのが好感が持てる。
あのダンスをやりながら歌っているのがすごいとも言える。
少し違うが工藤静香の「MUGO・ん…色っぽい」もこれに同じ印象を受ける。
特にバックダンサーがコーラスもやっているのが新鮮。
逆に商業的ではなく本能的な名イントロはオールマンブラザーズバンドの「ステイツボロブルース」とか。
なんだかんだ椎名林檎は良いと言わざるを得ない。
こんな言い方をするのはいささかの嫉妬を感じるからだ。
宇多田ヒカルは本能のままという感じがするが、椎名林檎は少し産業臭がするのだ。
広告代理店的というか作家的というか。
崇高的というよりかは俗物的なものを感じる。
ハイライトを吸っていたという話を聞いたことがあるが、本当だろうか。
本当だとしたら中二病みたいなものを感じる。
缶ピースやショートホープ吸っちゃいますみたいな。
人間味を感じる。
もっとドジなところを晒してほしい。
そういうところに惹きつけられる。

