まぐれで早稲田に入った。
まぐれで入ったもので、はたして卒業できるものかという心配があった。
当時は単位が楽勝で取れると評判だった政治経済学部。
政治経済学部内でも、政治学科と経済学科に分かれており、私は経済学科だった。
確か出願時に選択するはずで、少しでも受かる可能性が高い方を選んだ。
入ってみると、政治学科は人数が少なく、優秀な人が多かった。殿上人のよう。
せっかくまぐれで単位楽勝の政治経済学部へ入ったのだから、このメリットを活かす戦略をとることにした。
大学周辺の本屋にマイルストーンという雑誌が売っており、講義と単位の取りやすさがまとめられていた。
新聞のようなワセクラというのも同じような内容で売っていたと思う。
これで楽勝科目ばかり履修することにした。
とはいえ、面白そうな講義は大体一般教養科目であり、楽勝判定されていた。
シラバスとマイルストーンとワセクラを比較しながら科目登録を検討するのは楽しかった。
政治経済学部はほとんど大教室での講義であり、気楽に参加できた。
面白いと評判の講義にはもぐりで参加した。
マイルストーンとワセクラを頼りに、文学部のキャンパスの講義に出たりした。
詩人吉田文憲の講義など。これは夜間の今はなき第二文学部のものだった。
一年前までは荒川洋治の講義もあったとのことだが、厳しかったらしく残念なのか何なのかという感じだった。
当時は大学同士で単位の互換制度があり、お茶の水女子大学の調理実習も取得できたはず。
悩んだが時間が合わず断念した。
今冷静に考えてみればば、もし参加していたら肩身の狭い思いをしたであろう。
学費は払っているもののカルチャーセンターで講座選び放題という感覚だった。
どこの大学も同じだろうか。